プラスチック部品設計の進め方・ノウハウ

プラスチック設計を行うにあたり、どのような手順で設計してくか、一例ですが、ご紹介したいと思います。また、ボスやリブなどの設計については、品質不良を防止するためのノウハウがあり、重要な内容ですのであわせてご紹介します。

 

設計の進め方

部品を設計するにあたり、まずは組立てた状態を考える必要があります。

  • 製品のどこに使用される部品か
  • どのように組み立てるか
  • 強度はどのくらい必要か
これらを考慮することで、強度や品質、部品コストの最適な設計をすることができます。

 

製品のどこに使用される部品か

大まかに、「外観部品」「内部部品」で考えます。
外観部品の場合、成形不良がないようにするのはもちろんですが、外観に関わる不良も考慮する必要があります。内部部品の場合は、外観に関わる不良については、強度や品質に影響がなければ、省くことができたりします。そうすることで、外観を良くするために金型を修正する、部品の管理工程を厳しくするなどで発生するコストを抑えることができ、部品コストが安くできます

 

どのように組立てるか

部品の組み立て方法は色々ありますが、例えば「ネジで固定」「ツメで固定」「接着剤で固定」などがあります。
ネジの場合、「ボス」と呼ばれる部分にネジを固定します。ボスの設計が正しくないと、ネジバカ(ネジ山が崩れて固定できない)やボス裏面にヒケが発生し、外観不良につながります。
ボスの設計については、後程ノウハウについてご説明します。

 

強度はどのくらい必要か

製品組立後に、その製品の使用用途によって、外力(負荷)がかかる場合には、耐久性を考慮しなければなりません。考慮する内容は、部品の肉厚や形状、例えば、折り曲げる力が加わるような場所には、力が集中しないように角ではなく滑らかにしたり、補強用のリブを設けます。
そのリブについても、後程設計ノウハウをご説明します。

設計手順

1.肉厚を決める

ベースとなる肉厚を決めます。製品の形状や使用用途によって求められる肉厚は異なりますが、
ABSの場合は、だいたい1~3mmで設計することが多いです。

 

2.パーティングラインを決める

金型のキャビティ・コアの分割位置であるパーティングライン(以下、PL)をあらかじめ想定しながら部品設計します。
最終的なPLは金型設計者が決めますが、現在では3DCADで設計することがほどんどですので、抜き勾配をつけた状態で、データを渡すことになります。抜き勾配はPLを基準としてつけるので、設計時にPLを決めておく必要があります。

 

3.抜き勾配をつける

抜き勾配は、成形部品を金型から外す際に必要なものです。
金型の基礎」でも説明しましたが、コア側の突き出しピンで押し出して成形部品を金型から外します。そのため金型が開いた時は必ずコア側に成形部品が付いてくるようにする必要があります。抜き勾配はキャビティ側とコア側で異なるように設けており、一般的にはキャビティ側は2~3°、
コア側は0.5~1°にしています。

 

4.ゲート位置を決める

PL、抜き勾配をつけたら、ゲートを位置を考えます。実際は金型業者・成形業者との打ち合わせによって決めますので、あらかじめ予定しておくだけでも、打ち合わせがスムーズに進むため、このように考慮しておくのも部品設計には大切なことです。

 

5.チェックする

一通り設計が終わったら、以下の内容をチェックしておくと良いです。
アンダーカット
  金型のキャビティ側、コア側から外れる際に、引っかかってしまう部分がないか確認します。
  例えば一部形状が食い込んでしまっている、抜き勾配が反対などが、アンダーカットの
  原因となります。
金型強度
  例えば成形部品に細長い溝があった場合、その部分の金型形状は細長い棒状になります。
  射出成形では、高い圧力の成形材料が金型に注入されるため金型強度が不足していると
  破損する可能性があります。
成形不良の予測
  ヒケや反りなど、部品設計内容が起因する成形不良が起きない形状になっているか
  改めて確認します。事前に確認し修正を加えておくことで、金型の追加修正の費用を
  削減することにもつながります。
製品組立後の干渉・寸法公差
  最終的には、金型作成後の試し打ち(トライショット)で組立確認を行って判断することに
  なりますが、設計段階で、組立後に部品同士の干渉がないか、また組み合わさる部品の

  寸法公差範囲で干渉するなどの設計でないかをチェックします。

以上の手順はひとつの例ですが、金型を加工する前に設計段階で事前に詳細確認しておくことで、後々のトラブルを防止し、
最適な設計ができます。

 

設計ノウハウ

部品の設計要素として一部、「ボス」「リブ」の設計ノウハウをご紹介します。

 

ボスの設計

プラスチック部品の場合、セルフタップネジ呼ばれるネジ切りしながら止めるものがよく使われます。

そのネジを使用する場合のボスの形状は、下記の要素を取り入れる必要があります。

 ・ボスの内径d:ネジ外径の0.8~0.9倍

 ・ボスの外径D:2d~2.5d

ボスの高さは低いほどヒケなどの外観不良の可能性が少なくなりますが、ボス根元を一段低くし、ヒケを防止する方法も、ボス設計のノウハウの一つです。

 

リブの設計

リブは補強目的で使用されるため、形状は様々ですが、下記を踏まえて設計します。

 ・リブの太さ:0.6T
 ・リブの高さ:3T以下
 ・リブとリブの距離:2T  (T:肉厚)

 

いかがでしたでしょうか。

ご紹介した設計の進め方、設計ノウハウはあくまでも一例でこの限りではありませんが、部品設計段階で、成形不良やコストダウンを考慮することができる内容であり、スムーズに設計を進めていくためには大切な内容です。今後の設計に参考にしていただければ幸いです。