板金加工・プレス加工とは

ものづくりにおける板金加工・プレス加工

 自動車や家電製品をはじめ、身の回りにある身近な製品には金属の板を加工して作られているものがたくさんあります。形も大きいものから、手のひらに収まる小さなものまで様々で、加工の種類も、折り曲げたり、カットしたり、穴をあけたりとたくさんの方法で部品・製品が作られています。

ものづくりに携わる方のほとんどは、この板金加工に携わる機会が多く、実践で役立つ情報をわかりやすく理解しやすい内容でご紹介したいと思います。

 

板金加工・プレス加工の違い

 「金属の板」を加工するという点は同じですが、板金加工とプレス加工の違いは、「金型」を使って加工するかどうかで違ってきます。板金加工は金型を使用せず、曲げ、切断、穴空けなど加工を行い、プレス加工は金型を使用して加工を行います。それぞれのメリット・デメリットについて、下記にまとめます。

 

板金加工

 メリット…専用の金型が不要なため初期費用が安い形状変更にも容易に対応できる。
 デメリット…加工が一品ずつであるため工数がかかり、加工費用・管理費用が高くなる

 

プレス加工

 メリット…同一形状の部品を半自動的に加工できるため加工費用が安い。加工精度が安定するため管理費用が安い。
 デメリット…専用の金型が必要なため金型費用が発生する。金型作成後の形状変更に時間・修正費用がかかる

 

板金加工・プレス加工工程

実際に板金加工・プレス加工を行っていく工程について、一例をあげます。

 ①展開図作成
 ②外径加工
 ③穴加工、部分的な加工
 ④曲げ加工
 ⑤仕上げ

 

展開図作成

 加工後の板金部品をまず設計します。折り曲げた部分を開いていき(展開)、平らな板状に広げた状態を展開図と言います。通常、部品設計者は展開図は作成せず、板金加工業者が部品設計図を基に作成します。ただし、設計した板金部品を展開したときに矛盾している(例えば、展開後に折り曲げ部分が干渉している)ことがないように、部品設計者も設計後に、曲げ加工部分を展開できるかをチェックしておく必要があります。

 

外形加工

 板金材料を展開図の外形に加工します。加工方法は、まず「シャーリング」で定尺の材料から展開図のサイズにカットします。細かい形状は「レーザー加工」にて加工します。

 

穴加工、部分的な加工

 板金加工では、ボール盤で穴をあけたり、フライス盤で穴やその他形状に加工したりしますが、プレス加工では「タレットパンチプレス(通称タレパン)」で穴をあけたり、必要な形状にくり抜いたりします。

 

曲げ加工

 設計した形状に板金を曲げます。曲げ加工後に、曲げ角度、寸法、穴などの位置が寸法どおりになっているよう加工を行うのが、板金加工業者・プレス加工業者の腕の見せ所で、加工ノウハウが多くふくまれているところです。

 

仕上げ

 ネジ山を切ったり、その後の2次処理(塗装、印刷など)を行って、部品が完成します。

 

板金加工・プレス加工の種類

 上でいくつか加工用語が出てきましたが、板金加工・プレス加工にもそれぞれ加工の種類があり、代表的でよく使用される加工方法をご紹介します。

 

シャーリング

 シャーリングは大きい板金を一度に一直線で切断するのに使用されます。板金材料は最初、定尺(決められた寸法)で材料メーカーから購入します。
 主に、作りたい部品のサイズに合わせ、定尺の材料から切り出すのに使用されます
 加工のしくみは、切断する刃がシャーリングの加工機の上下についており、上の刃と下の刃ではさみ、板金材料を切断します。
 材料の厚みは、2~2.5mmが一般的です。それ以上の厚みを切断できるものもありますが、仕上がりがあまりきれいではなくなるのと、別途説明するレーザー加工が用いられることが多いです。

 

曲げ加工

 板金部品を直線で直角、もしくは指定角度に曲げる加工です。ベンディング、ベンダー曲げとも呼ばれます。ハードディスクレコーダーやオーディオプレーヤーのような箱形状の製品などが、この方法で作られたりします。
 加工のしくみですが、「ヤゲン」と呼ばれる上側の凸形状の型と、「ダイ」と呼ばれる下側の凹形状の型で板金材料をはさむことで折り曲げることができます。

 

順送金型加工

 板金加工の場合は、曲げや穴あけなどの加工がそれぞれの工作機械で必要ですが、「順送金型」を使用した加工の場合、材料投入から曲げ、穴あけ、外形加工までの一連の加工を1台のプレス加工機で連続的に行うことができます

 

タレットパンチプレス(タレパン)

 プレス加工の一種で、「パンチ」と呼ばれる上側の型と、「ダイ」と呼ばれる下側の型で板金材料を目的形状に加工します。パンチの形状に穴をあけたり、またパンチを少しずつずらして加工していくことで、外形をくり抜くことも可能で、汎用的に加工ができる加工方法です。順送金型の加工のように、穴あけ、外形加工を1台のプレス加工機で行うことができますが、曲げ加工は行うことができません。

 

レーザー加工

 板金加工の中で使われることが多いですが、レーザーによって、外形から穴形状まで、加工する方法です。パンチや金型などが不要で、プログラミングによって板金を加工することができます。試作部品や小ロットの部品で用いることが多いです。

 

いかがでしたでしょうか。
ものづくりにおける板金加工・プレス加工ということで、まずは概要と加工工程や加工種類をご紹介しました。ここにあげたものは実践では必ず必要になる内容ですので、しっかり覚え実践で役立てましょう。