板金加工・プレス加工不良

板金加工・プレス加工で起こる加工不良には、寸法が出ない、変形してしまう、外観不良などがあり、不良の内容によって呼ばれ方があります。加工業者だけでなく板金部品設計者も、不良の知識を習得しておくことで、起こりうる不良を予測することができ、あらかじめ設計段階で防止策を施すことができ、最適な設計につながります。

 

反り

板金加工・プレス加工を行うことで、加工周囲の平面が反ってしまう加工不良です。
見た目ではわかりにくいのですが、平面部分が多い部品、例えば、箱形状のフタなどを設計した際に、天面が反るなどの状態が良く起こります。製品へ組立てられなかったり、ガタが大きかったりと製品組立にも影響が出てしまう不良です。

 

捻れ

反りと同様に加工周囲の平面が捻れてしまう加工不良です。
板金材料には、材料を製造した際の外力が内部に残っている(残留応力)ため、板金材料を加工した際に残留応力が影響して、予期しない形状に捻れたりしてしまいます。

 

かじり

板金材料に金型が擦れることで発生する擦れキズです。
金型とのクリアランスの不足や、加工時の潤滑油の不足によって発生します。部品が不良になるだけでなく、金型にとっては加工に負荷がかかることになるため、破損に発展しないよう改善が必要となります。

 

ブツ・打痕

プレス加工時にゴミや板金材料の破片や板金材料と金型との間に入り込み発生する不良です。
ブツの場合は、板金にそれらが残ってしまい、その部分だけ凸が発生してしまい、打痕の場合は、逆に凹みが発生してしまい、外観不良となります。
量産時において同じ個所に打痕がある場合は、金型に破片やゴミが付着している可能性があるため、金型側の改善も必要になってきます。

 

バリ

穴あけや外形加工など、板金材料を切断した際に稜線が尖ってしまう加工不良です。
金型のパンチとダイのクリアランスが適切でない場合に発生します。製品にバリが出ているとユーザーが使用中にケガをしたり、また生産時の組立作業者も作業中にケガをしたりする可能性があります。適切なプレス加工を行っても、小さなバリは必ず発生してしまうため、バリの除去を行うか、
バリの方向を手に触れない位置に配置するなどの設計側での考慮も考える必要があります。

 

ダレ

バリとは反対面に発生する、角や稜線が滑らかになってしまう加工不良です。
バリ同様に、金型のパンチとダイのクリアランスが適切でない場合に発生します。バリのようにケガにつながる不良ではありませんが、見た目が悪くなってしまったり、寸法が出なかったりすることがあります。

 

スプリングバック

曲げ加工を行った後に、曲げ方向とは反対方向に変形する(戻る)現象です。
曲げ加工を行うことで弾性変形(もとに戻ろうとする力)が働きこのような現象が起こるのも原因のひとつです。必ず発生するため、加工する際はスプリングバックを考慮して、曲げ量を決める必要があります。

 

穴まくれ

曲げ加工によって曲げ部周辺の穴が変形してしまう加工不良です。
曲げ加工時に材料の伸びによって、穴周囲の材料が引っ張られて変形してしまいます。曲げ位置に対する穴位置の設計が適切でないとこのような不良が発生します。最小でも、曲げ位置から、板厚の4倍の距離をとる必要があります。

 

割れ

曲げ加工や絞り加工で材料表面にひび割れが発生する加工不良です。
材料の板厚に対して、曲げRが小さかったり角度が鋭角であったりする場合、曲げ部外側にひび割れが発生します。また、絞り加工においては、パンチ、ダイの両方の金型の角Rが小さかったり、クリアランスが適切でない場合に発生します。
いかがでしたでしょうか。

 

これらの加工不良の知識を持っていることで、板金部品の設計時に、加工不良を予測した設計ができ、後々のトラブルを回避することができ、トラブル対策費用の削減など、結果的にコストダウンにも繋がることになります。また開発・生産も円滑に進み、遅延なく進めることができるため、ものづくりを行う設計者にとっては重要な内容です。今後の設計業務にぜひお役立てください。